2016/01/18 16:07

私たちは農業の経験がないまま脱サラし、三島独活農家になりました。


三島独活というのは、小屋の中でわらと干し草を使って栽培する真っ白で軟らかい「うど」の一種。

大阪の三島地区で江戸時代から(もしかするともっと前かも)栽培されている伝統野菜で、
果物の梨のような甘さとみずみずしさが特徴です。
「超手間がかかる・技術がいる・が、あまり金にもならん」という理由で、
みんな栽培を辞めてしまい、同じ村に住むもうすぐ80歳の農家さんが
全国で唯一、三島独活の栽培を続けておられました。

当然のことながら超マニアックな野菜なので、
私は嫁ぐまで食べたことも見たこともなく、
夫も地元の特産品程度にしか思っていませんでした。

ところが、、この三島独活、地元の人や一部のファンから熱烈に愛されていたのです。
私も嫁いで1年目は、
「三島独活・・変わった食べ物。まずくもないがおいしくもない。」
それくらいに思っていました。
が、不思議。。
2度、3度と食べているうちに、
「すげーおいしい。もっと食べたい。」と中毒化するように。
(だいたいみんな同じ末路を辿るらしいから怪しげな成分が含まれていないことを願う。)

だから最後の三島独活農家さんが引退を考えておられるという話を聞いた時、
「このまま食べられなくなるのはどうしたって避けたい。」
そう思ったのです。
しかし、周りに三島独活を伝承していけそうな若者はいない。
(なぜなら、高齢化が深刻な地域・・)

そして、2014年夏。
「じゃあ、私たちがやるしかないよね~」
と就農を決意。
夫は師匠に弟子入り。

私が妊娠したので産まれる前に始めなければ!と
その頃にはすっかり三島独活の虜になっていた夫も
慌てて辞表を出し、2015年から本格始動しました。

ちなみに、この頃私は仕事をしていなかったため、
三島独活の収穫までには1年以上を要するにも関わらず、収入の目処は0。

・・にも関わらず、
「本気でやったらお金はどうにかなる。でも三島独活は一度途絶えたらもう戻らない。」
そんなことを言って夫も会社をやめちゃった訳だから親、親類をかなり困惑させました笑。

ちなみに「収入面は新規就農者への助成金制度があるから大丈夫!」と聞いていましたが、
いざ就農すると、
「あなたたちは農業の経験もないので、支援できない」とあっさり却下。。。

一時はどうなることかと思いましたが、運と人に恵まれていたお陰で、
私が取り組んでいた「地域活性化の仕事」で食べていくことができました。

お陰様で、夫は三島独活の生産に集中でき、いよいよ初収穫を迎えます。
(息子も無事出産できました~)
綱渡り状態だったけれど、何とか大きな一歩を踏み出すことができました。
 
たくさんの人に愛され、守られてきた「三島独活」
次の世代にバトンタッチできるよう、これからも夫婦共々精進していきたいと思います。